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「国宝、阿修羅展」

朝晩、少し肌寒さも感じつつ、爽やかなお天気が続いています。
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先日、平日の午後、
急遽思いたって上野の東京国立博物館(平成館 )で開催されている、
「国宝、阿修羅展」に行ってきました。
この阿修羅展、
各新聞でも特集記事を組んだり、
ニュース、雑誌でも大々的に報道していましたから、
かなりの混雑を予想し、行くまで少々躊躇しておりましたが...、
思いたったら吉日。
夕方近くという時間帯(みなさまお帰りの時間?)が良かったのか、
比較的スイスイと..♪、
何でも本日(28日、火曜日)の午後で入場者数も30万人に達したとか。

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久しぶりに訪れる上野公園、その入り口公園広場には、
制服姿にリュックを背負った修学旅行生でいっぱい。
この時期の上野の森は、甘い香りが漂います。
桜が舞ったあと、ちょうどツツジも咲きはじめ、
そよそよと心地よい風に吹かれながら、
新緑の眩しい木立の中を歩き、新鮮な空気を思いっきり吸い込んでの森林浴...。
この瞬間がいいのです。
当たり前の日常から、雑多な思いから解放される瞬間。
今、行きたいと思うから行く...
美術館でも神社でも散策でも、最近の私はそんな感じでしょうか。

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入り口から博物館の平成館まで、
少々遠回りしつつ辺りの景色を楽しみながら歩きました。
途中、大道芸人?
若いお兄さんのパフォーマンス?何とものどかです。

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奈良・興福寺の創建1300年を記念して開催された今回の展覧会、
阿修羅像をはじめとする八部衆像(国宝)に十大弟子像(国宝)、
中金堂基壇から発見された1400点をこえる鎮壇具(国宝)や、
薬王・薬上菩薩立像、四天王立像なども展示され、
特に今回は、
八部衆像(8体)と十大弟子像(現存6体)の14体が揃って寺外で公開されるのは、
史上初めてのことだとか。
上野の地で阿修羅...これもなかなかいいもの。


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こうしていよいよ国立博物館の本館前に到着。
木々の間から突然表れた、その重厚な雰囲気の建物。
旧本館は、関東大震災で大きな被害を受けたため、
こちらは、昭和13年、昭和天皇の即位を記念して建てられたものだそうですが、
コンクリートに瓦屋根を乗せたところなど、何とも斬新。
新しいのと古いものが程よくミックスされ、東洋的な神秘さも。
遠くから眺めても、その存在感に圧倒されます。
ベンチでくつろぐ人もその帝冠様式の建物に溶け込んで、まるで絵のよう。
ゆったりと時間が流れます。

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そして、こちらが表慶館。
1909年(明治42年)、
東宮皇太子嘉仁親王(のちの大正天皇)の成婚を祝う目的で開館したもの。
日本最初の本格的美術館だそうですが、こちらも趣がある建物。
今、日仏交流150周年を記念しフランスを代表するジュエラー、カルティエが所有する
1370点のアーカイヴピースを中心に、276点を展示されているとか。
女性としましたら、ちょっと気になるところでしょうか...♪。


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そしていよいよ平成館に到着。
皇太子徳仁親王(浩宮)の成婚を記念して1999年(平成11年)に開館。
建物は、驚くほど、シンプル&シンプル!
そして館内へ。
黒木瞳さんの甘い上品な音声ガイドに従ってスタート。
心はすでに奈良の都。
学生時代に訪れて以来でしょうか。
和銅3年(710年)平城遷都にあたり、
藤原不比等が春日山の麓に建設したという興福寺。
地鎮のために金、銀、水晶、琥珀などそれはたくさんの鎮壇具が埋葬されたようですが、
驚くほど保存状態も良く、
一つずつ丹念に見て行くとかなりの時間がかかるほどの数です。
日本史の教科書でお馴染みの、あの和同開珎や開元通宝も。
銅の変色した色が、1300年という時間を物語っていました。

次の展示室、八部衆の部屋へ。
元々は、インドの神々で、仏教に取り入れられて、守護神になったとのこと。
鳥の顔や額に角をやはしたものなど、異形の姿で表されたものが多く、
その表情は、まさに少年。
近くで見ると、まだまだ幼さ、あどけなさが残ります。
しかし、そんな中にも、少年特有の、憂いや、迷いや、怒りなども感じられ、
何とも不思議。
その目は、何か語りかけているような、挑んでいるような...。

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それから十大弟子の待つ部屋へ。
十大弟子とは、釈迦に従った十人の高弟をいうのだそうですが、
知恵に優れたもの、神通に優れたもの、説法、論議に優れたものなど、
みな優れた能力を持った弟子たち。
若年から壮年、そして老年へと移り行く相を見事に表現し、
まるでわが身の歩みを見るようでもありました。
顔や眉間の皺、眼や口元の表情。
人間の一生背負うものが、そこに表現されているようでした。
これらの弟子たちを至近距離で眺め、顔の、被服の、皺の一つひとつに目をやり、
何とも不思議な気持ちになりました。
仏像は、誠に不思議な力があります。
とても1300年ものときを経ているとは、思えないほど身近に。
現代に通じるものがあるのでしょう。


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そして、いよいよ、阿修羅像。
まぁ!少年とは思えない華奢で美しい肢体。
細くて長い、6本の腕、手。
あまりに美しいので驚きました。
どこから眺めても、とにかく、美しい..。そのひとこと。
横顔も、後姿も、どれも美しい。
写真は、いつも真正面からだけでしたが、こうして後ろから、横から見たのは初めて。
私は、横顔が好きでした。
阿修羅はインド神話では軍の神で、激しい怒りを表すと聞きましたが、
そんな怒りや激しさはどこにも見られません。
いや、怒りをも越えた優しさなのかもしれません。

こうして、阿修羅と対峙した一時間あまり、
見終えてやや疲れを感じましたが、ほっとした落ち着いた気持ちも。
「これだけの国宝をこうして上野の地に運んだ技術も、また素晴らしいわ!」
友人の素直な感想に私も同感。
本当にその通りですね。

外に一歩出ると、そこは平成の春。

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何とも清々しい緑が広がっていました。
そろそろ咲き始めた、薄紫の藤の花もそれは綺麗でした。
東京・上野での会期は、6月7日までとのこと。
どうぞご興味ある方は、混雑を潜り抜けて、是非ご覧くださいませ。
あわせて、「日本の美術館名品展」も。

この阿修羅展、
7月からは、福岡県太宰府市の九州国立博物館で公開されるそうですので、
九州地方の方は、どうぞお楽しみに...♪。

ではみなさま、素敵な五月をお過ごしくださいませ。
皐月の花とともに..。




芙蓉
by silku928 | 2009-04-29 01:23

猫好き。日常さまざまな出来事の中での”本音のつぶやき”


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