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「その日から」


冷たい雨の一日でした。                  「その日から」_f0153998_034565.jpg


先日、丸の内でお会いしたご夫婦の奥様から、
あの日一冊の本をプレゼントされました。
初めてお会いしたお客様ではありましたが、
「もし、よかったら貴女にこれを差し上げたくて...」
とのこと。
差しだされた茶封筒には、
それは、美しい毛筆で、
私への宛名が書かれていました。

本の題は、「その日から」.....。

それは、ご婦人が亡き母への思い出を綴った思い出本、
いや、介護日記といった方がいいかもしれません。
ご自分で書かれたものをご主人さんがパソコンで打ち、
知人の印刷所に持ち込んで、自費出版されたものでした。
お母様が生前お世話になった方達への、感謝の意をこめて...ということで。

その日」というのは、
故郷熊本に住む、老齢のお母様が77歳で認知症になり、
もはや一人での生活は無理ということで、
横浜に引きとった、まさに”その日”のことで、
それから、89歳で亡くなる12年間の、、さまざまな介護を記したものでした。

それは、決してキレイごとではない、過酷な介護環境での中での、
さまざまな心の葛藤、人間の尊厳にかかわること、
そして、
ご自分の中に常に自分と母親との二つの身体を感じての介護であったこと、
赤裸々に語られていました。

私も、7年前に両親を亡くしていますので、
重なる思いもあり、とても感銘を受けました。
野辺の送りを横浜で行うか、故郷の熊本で行うか、
最後の最後まで悩み、結局故郷熊本に連れて帰ったことなど、
すべて本音で綴られ、これから老いを迎える私にとっても、
とても身に染みるいい本でした。

親は、
子供の親に対する愛など足元にも及ばぬほどの愛を、

子供に注いで、人生を終わらせるものである

死に際に、いくら親孝行もどきをやっても
親孝行は、やり尽くせるものではないというのが、実感である。

親の愛は、山よりも高く、海よりも深いというのは、真実である

最後に、こう、記されていました。
まったくその通りでありましょう。
親というものは、誠に有り難いものです。
亡くなっても、こうして教えてくださるものがたくさんあるのですから...。


ほとんど見ず知らず同然の、仕事上の関係の私に、
「その日から」_f0153998_039221.jpgこのような本を下さったあのご夫婦の気持ち、
私は決して忘れません。


本日は、備忘まで


芙蓉
by silku928 | 2007-12-14 00:56

猫好き。日常さまざまな出来事の中での”本音のつぶやき”


by 芙蓉
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